06年の俳句
ここでは今までむつきの会の会員が
句会で作った俳句を載せます。
2006年の作品です。
句会は互選で行います。この際、自分の作品は選ばない、というのがルールです。
作者の名前ごとに作品が並んでいます。
作品の隣にある文字はその作品を選んでくれた人の頭文字です。
○は特選句(5句の中で一番いいと思った句)です。
06年10月11日 むつきの会定例句会神田ルノアール
出席者:あけみ、けんじ、まさよし、たかゆき、さとう、らいなす
あけみ
満開の菊に優劣なかりけり ○さ、た
肌寒し夕暮れはみな足早に さ、ら
開け放つ木犀の香の満ちるまで ○ら
マンションに二、三欠けたる秋灯し け
けんじ
あけぼのの穂をひらくゆくすすきかな た、ら
秋灯や暗きにありて見ゆるもの あ、た、さ
忘れたきこと二つ三つ蛍草 ○あ、ま
露草の梅雨に生れし青さかな ま、た
まさよし
秋の灯や照らす我が子の道のさき さ
限りなくさらに青きに天高し ら
たかゆき
肌寒やマンションの壁はげ落ちて け
螻蛄鳴く生徒もいない学び舎に け
さとう
秋の灯や本棚に出る人の性 ○た、あ
流行歌母校騒ぎし運動会 ら
笑われて一位とりたる運動会 ○け、あ
赤い羽針まっすぐでありにけり あ
らいなす
名月と酒くみかわし独り酔い ○ま、さ
秋の灯や恋う人の影柔かし け
肌寒し赤ちょうちん恋し宵 ま
夜半の月独りながめて肌寒し ま
むつきの会吟行 行船公園 2006年9月23日
参加者 らいなす、まちこ、さとう
(五句投句、三句選)
らいなす
さるすべり 名残りの紅を 残しけり さ
金木犀 レッサーパンダ 目を細め ま
まちこ
ペンギンの じっと見上げて 秋高し ○さ
本の上 落ちる葉速し 秋来たる ○ら
子どもらの 声を吸うよな 秋高し ら、さ
庭園の 池のさざ波 野分立つ ら
さとう
脱ぎ捨てた 靴新しき 裸足かな ○ま
子供達 皆で真似した プレイリードック まち
2006年7月12日 神田ルノアール定例句会
兼題 茄子、夏めく
参加者 らいなす、ゆきえ、まさよし、さとう、
たかゆき(選句のみ)、あけみ(欠席投句)
らいなす
洗い立て ジーンズ涼し 夏めいて ○ま、ゆ、さ
紫で 夕餉賑わす なすびかな ま
かざす手に 猛る陽暑し 夏めいて ま、た
サクサクと 包丁一振り 茄子匂う ゆ
今晩の 献立迷いつ なすび捥ぐ さ
ゆきえ
夏空や 決めかねている 迷いごと た、○さ
夏めくや 整えられし 窓周り た、ま、さ
届たし 泰山木の 花ひらく た
茄子焼いて 色変わる様 楽しめり ま
まさよし
初蝉の 来(きた)る季節の 早さかな ○ら、ゆ
髪洗う 恋をつむぎし 一夜かな ゆ、ら、さ
麦酒飲む 涼を求めて 喉鳴らし ら
さとう
釣竿の 主はいずこへ 夏の海 ま
夏の海 飛び込みたいと いう気持ち ま
あけみ
包丁を一瞬拒む 茄子の色 ○ゆ、○た、ら
むつきの会定例句会06.5.10
参加者:ゆきえ、たかゆき、さとう、まさよし
ゆきえ
堂廻る足の感触夏近し ○さ、た
ガラス戸を開け放してや若葉風 ○ま、た
山間の里にありしや鯉幟 さ、た
松島を見渡している立夏かな さ、た
たかゆき
鈴蘭の誘惑をまた断れり ゆ、ま
風船も昇る吉日の幟かな さ
月日経る鈴蘭はただそこに ま
さとう
新緑やグランドに野次とばしあう ゆ
ビル風は時に激しく鯉幟 ゆ、ま
鈴蘭や人は他人に頭下げ ま
まさよし
躑躅燃ゆ人の小さき根津の杜 ○た、ゆ
鈴蘭の揺れる様似るわが心 ○ゆ
矢車のひとつ回りし団地かな さ
むつきの会吟行 06年2月25日 亀戸天神
参加者:あけみ、けんじ、まさこ、まちこ、たかゆき、さとう
あけみ
神殿に明るさ添えて菜種御供 ○まさ
蝋梅や光弾いて香り増す ○まち、まさ
梅が香に何の夢見て猫眠る け、まさ、まち、た
紅梅や笑いはじける女たち まち
けんじ
春浅し小菅公の像の錆 あ、さ、まち
蝋梅の散るもあたはず神の庭 あ
なつかしき顔もいくつか梅ぽつぽつ まさ
うららかや天神の絵馬すずなりに さ
まさこ
枝垂梅おみくじ結ぶ息白し あ
白梅の扇のように咲きにけり さ
蝋梅の残りて雨を含みけり た
まちこ
亀二匹首を伸ばして春立つや け
菜種御供ゆっくり進み老夫婦 さ
白梅や曇天の空に同化せり た
たかゆき
北斎の絵のごと梅は幹ばかり ○さ
伸ばしては梅に近づくカメラかな まち、け
白梅の遅速や人も適度なり まさ
さとう
梅咲いて暇持てあます老婆かな ○あ、○た、け
水仙は人と同じく口を持つ ○け
早春や亀の親子が向かい合う た
梅咲くやカメラに目線細める子 あ
06年1月11日定例句会
出席者:あけみ、ゆきえ、たかゆき、さとう
あけみ
冬草や会えば二十に戻りたる ○ゆ、た、さ
数え日やしたい事よりすべき事 ○た、さ
新年会次第に笑い声高く ゆ
薄情をただ風花に責められて ゆ
ゆきえ
他愛亡き話は尽きず年惜しむ あ
煮えている否と言い合う鍋囲み あ、さ
走りゆく車窓の景色寒波来る た
たかゆき
寒風のなかにポストが立っている ○あ、○さ、ゆ
水鳥の寒さ痛さをねむらする あ
北風や待ち人のいぬ家に着き ゆ、さ
さとう
マスクして目線が何か言うごとく あ
悴む手ビニール袋の荷は重く た
破魔矢持つ母は子供を遊ばせり た