07年の俳句
ここでは今までむつきの会の会員が
句会で作った俳句を載せます。
2007年の作品です。
句会は互選で行います。この際、自分の作品は選ばない、というのがルールです。
作者の名前ごとに作品が並んでいます。
作品の隣にある文字はその作品を選んでくれた人の頭文字です。
○は特選句(5句の中で一番いいと思った句)です。
07年10月に横浜の
こどもの国へ吟行に行った時の選句結果です。
この時は季節外れの台風で大変でした。
ゆうこ
銀杏散るヒロインめける気分かな た・さ
敗荷に寄れかかりおり敗荷が た・○さ・ら
(敗荷=やれはす)
近付けば傷数多あり秋薔薇 ○ら
濡れそぼつ団栗踏める小気味良さ ら
たかゆき
ぽってりと唇に熱花カンナ ゆ・ら
嗄れし往年の歌手花カンナ ゆ・さ
(嗄れし=しわがれし)
雨降る地毒を清めよ金魚草 ゆ・さ
さとう
温室の雨漏りいつも羊歯のうえ ○ゆ・た
どんぐりを蹴ったが木などみつからず ら
らいなす
秋雨や傘にハートの葉を落とし ゆ・さ
秋雨を子守歌にす子牛かな た
秋雨に濡れる遊具も寂しかろ ○た
07年9月に等々力渓谷に吟行に行った時の選句結果です。
台風一過で残暑真っ盛りで
渓谷の涼しさがとても気持ちよかったのが思い出されます。
参加者 ゆうこ、らいなす、たかゆき、さとう
ゆうこ
青き葉も沈む川底野分あと ○ら、さ
行く人も我もまみれる蝉時雨 ○さ、ら
細き滝震わすように蝉がなく ら、た
「ラムネあり□(ます)」筆で書かれしお品書き た
※ます、は四角に斜め線
らいなす
登り来て「氷」ののれん眩しけり さ
風渡る今を限りと蝉ら鳴く さ、ゆ
吹流し秋風に身を任せけり た
たかゆき
岩清水美しいほど底透けり ら
渓谷の闇深きほど蝉鳴けり ら、ゆ
麦わら帽長き階段掃き終わる さ
夏団扇泳がぬ風を撫でにけり ゆ
さとう
蝉時雨歩いてゆけば遠ざかる ○た、○ゆ
時々にないてるカラス蝉時雨 た
夏帽と煙草愛用休憩中 ゆ
6月に豊島園で紫陽花を見に
吟行に行ったときの選句結果です。
豊島園というと遊園地ですが
紫陽花も見れるんですよ
園内では紫陽花の販売も行ってました。
けんじ
野人としてひそと生きたし山紫陽花 ○さ、ゆ
紫陽花のてまりの中の静けさよ さ
色あせてより薔薇の匂ひを強めけり ゆ
たかゆき
出会った日いくつ数える額の花 ○ゆ
野球帽紫陽花の中繕い歩く さ、け、ゆ
機関車の線路遠かり紫陽花よ さ
ゆうこ
それぞれの青を持ち寄る四葩かな ○け、た
緑陰の菓子を分け合う姉妹かな た
紫陽花や今は寂れた遊園地 た
盛り過ぐ四葩を避けるカメラかな さ
さとう
山あじさい枯れて蜘蛛の子散るごとく ○た
白靴や二周五分のメリーゴーランド た、け、ゆ
涼み台真顔くずさぬ父と母 け
どくだみの花穂のままで枯れており け
07年6月に都内の喫茶店で定例句会を行った時の選句結果です。
5句投句5句選句
○は特選です。
けんじ
傾いて船沈むごと金魚死す ○た、さ
ひそやかな華やぎもあり通夜の鮨 ○ら
枇杷剥けば座席に風の満ちてくる ら
言の葉も水したゝるや梅雨深む ら
たかゆき
白服の彼女手に持つ枇杷のあり ら
尋問の終わりなき朝枇杷匂ふ け
らいなす
大将と一騎打ちのごと鮨を食う ○さ
昆布〆めの鮨の旨さを父教え さ
ひび割れし田んぼうらめし梅雨を待つ け
さとう
夏の夜に回送列車の灯かな ○け、た
待ち人は方向音痴夏の空 た、ら
波打てば下がりて進む裸の子 た
あけみ
朴の花大日如来結跏趺座 さ、け
路地の枇杷袋の中で時を待つ け
ゆうこ
スーパーに枇杷並びおり曇り空 た
まちこ
ミッキーに手を振る吾子の汗光る さ
07年3月に六義園で吟行
(景色を見ながら即興で句を作る)を行った時のものです。
5句投句5句選句
○が特選句です。
けんじ
きぶし咲いていにしゑの空恋しかり た
料峭や都会の森に杲つる音た
暗きより出でて急がず春の水 ゆ、ら、さ
東屋の見晴らしのよく冴え返る ら、さ
ゆうこ
飢え知らぬ庭園の鯉 花の冷え ○た、け
さっきまで人いたベンチ 春浅し ○ら、け、さ
水底の 春の落ち葉に 波の影 た、ら
気にかかる 物の芽の名は 分からねど ら
らいなす
砂利を踏む 音軽やかに 春日向 さ
たかゆき
不器用な 道しかあらず 三椏の花 ○さ、○け
鬨の声 挙げたりみどり 木五倍子咲く け
腰元の 銭重たけり 五倍子咲く ゆ
さとう
椿落つ色恋沙汰に ある懺悔 ○ゆ、た
竹の秋 なんでも燃やす 焼却炉 け、ゆ
馬酔木咲く 食べたくなるは クリームシチュー ゆ
07年2月14日定例句会
出席者:あけみ、けんじ、たかゆき、らいなす
欠席投句:ゆうこ、まちこ、さとう
兼題:バレンタイン、冴え返る
あけみ
冴え返る連休明けの身をすくめ ら
バレンタイン義理チョコ友チョコ自分チョコ け、ら
けんじ
白シャツの光散らして青を踏む ○あ、た
鳥鳴かぬ森くろぐろと冴え返る た、ら
紅梅や天空いよよ深くして あ
春の土小鳥のごとく握りしむ あ
ゆうこ
秒針の動かぬ心地バレンタイン あ
たかゆき
レンズ拭くカメラなりけり冴え返る ○ら
まちこ
バレンタイン食べたきチョコ買う妻となり ら
嘘のよな飼い猫の死冬日向 ○け
さとう
如月や親友だから言えぬ事 ○た、あ
バレンタイン一ヶ月後を忘れるな た
男とは単純至極バレンタイン け
マスクして誰もがうつろ待合室 け
らいなす
バレンタイン父さんいばるチョコ五つ け