08年の俳句

ここでは今までむつきの会の会員が

句会で作った俳句を載せます。

2008年の作品です。

 

  

句会は互選で行います。この際、自分の作品は選ばない、というのがルールです。

作者の名前ごとに作品が並んでいます。

作品の隣にある文字はその作品を選んでくれた人の頭文字です。

 ○は特選句(5句の中で一番いいと思った句)です。

 

 

 

 

 

11月16日 神田ルノアール 兼題:紅葉・寒さ・冬の星・おでん

出席者:ゆうこたかゆきさとうらいなす
欠席投句:まちこ

ゆうこ
晴天と寒さの底のフリマかな      た
冬の星台紙にポイントシール貼り   ◎た、さ
夫居らぬ夜のコンビニのおでんかな ◎さ、ら

まちこ
冬の星ビジネスホテルより見上げ ゆ、さ
一枚の紅葉握りあったよと       ◎ら
子の握る手の強さ増す寒さかな    ら

さとう
職安に通いし日々や冬の星       た・ら
着ぶくれて手を重ねつつ眠りをり    ら
携帯を握り眠るや冬籠          た
恋というよりは沈黙毛糸編む      ゆ、た

たかゆき

師走かなスパゲティ煮る鍋こげし    ◎ゆ

らいなす

おでん食う母に電話をかけてみる  ゆ、さ
君想い昆布だしからのおでんかな    ゆ
山頂で伸ばす手に降る冬の星      さ

 

 

 

 

 

むつきの会 小石川植物園吟行 08.10.25

参加者 ゆうこすわこたかゆきさとう

ゆうこ

あちら向く濃き竜胆を覗きたし ○さ、○た
災難の続くこの頃桐一葉 さ
吾亦紅バラ科と知りし植物園 さ、た
昨夜の雨ススキ倒して去りにけり す

すわこ
路一面幾何学模様うす紅葉 さ、ゆ

たかゆき
秋声や獲物噛み喰ふ蜘蛛の爪 ○す、さ
紫をん傾く静かなる色放ちては ○ゆ
蟋蟀や見渡す限り息潜め す

さとう
洋館の固き施錠や秋時雨 た、ゆ
この道をゆくなら迷子秋の空 た、す、ゆ
秋の蚊に手のまんなかを刺されけり た
押し合って餌喰ふ鯉や冬近し す、ゆ

 

 

 

 

 

08年4月5日新宿御苑吟行

ゆうこ
池の面に映る桜のさざめける ○す、さ
落下踏むブーツの踵カツカツと ○さ、す
泣きじゃくる子にふんわりと落下かな す

すわこ
何年もそこにある木に春の鳥  ○ゆ、さ
アスファルト土にもなれず落ちる花 ゆ
土踏みしめ肩こぼれゆく花びら  ゆ
花吹雪手広げ踊る幼女達     さ
はらはらとただはらはらと散る桜 さ

さとう
花吹雪集め両替してみたい ゆ
桜咲く知り合いに似た赤ら顔 ゆ
兄慕い追う女の子しゃぼんだま す
大人寝て子供玉追う花見かな す

 

 

 

 

 

 

08年2月23日東大本郷キャンパス吟行

らいなす
枯れ藤や花咲く時季を待ちわびて ○ゆか
入試待ち立ちはだかるや大講堂 ○ゆう、た
なつかない猫予感する冬嵐 ゆう、さ、ゆか、た
喧騒の春待つ安田講堂や た、ゆか

ゆうこ
カップルは大阪弁で春隣 ○さ
池の面に軟着陸の枯葉かな ○ら
餌を探す鴨は句探す我に似て ゆか
連れのなき鴛鴦曳く水尾いと長し さ
石段に鳩の羽毛や冬の果て ら



ゆか
ものの芽のとんがる先に鳥のこえ ゆう
如月に誘われ歩く初吟行 さ

たかゆき
紙雛に東大生も止まり見る ゆう
雲雀鳴く東大入試板が立つ ゆう
赤門も記念撮影試験かな さ

さとう
如月の講堂そびえ立つごとし ○た
襟巻きの女同士は手をつなぐ た
ペンギンの髪形になる空つ風 ら、ゆか
枯れ枝の鳩眠たげな眼して ら
「押忍!」という掛け声響く寒さかな ら