名句の鑑賞

先人の名句の鑑賞です。

是非ご覧くださいませ。

 

 

杉田久女の名句を鑑賞してみます。

ぬかづけばわれも善女や仏生会

季語は仏生会(春)
釈迦の誕生日の4月8日に寺院で行われる祝祭。
こういう行事は人によって熱意が違う
親は信心深いが、子はそうでもなかったり・・・

親の前では善女ぶってるけど実際には・・・
周囲の熱意と自分の冷めた気持ちを
詠んでいて面白い句だと思います。

板の如き帯にさされぬ秋扇

季語は秋扇(秋)
夏の暑い盛りではなく
秋の使うか使わないかわからないがまだある扇
それがしっかりした帯にささっている
それだけの描写でその扇の持ち主が目に浮かぶ。
私は、先生と呼ばれるような人物を想像する。

花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ

季語は花衣(春)。花見に着る晴れ着のこと。
和服は帯、帯を留める帯締めや帯止め、巾着袋など
言われてみると紐が多い。
そしてその紐はカラフルで用途に応じて
いろいろなバリエーションにとんでいる。
その美しさと共に
それだけ紐があると着たり脱いだりするの大変だろうな、と
男性の私にも伝わるものがある句。

 

 

 

 

 

 

百日紅の名句を鑑賞してみます

 

いつの世も禱(いのり)は切や百日紅 中村汀女

人の願いは今昔関係ないようで
それに対して百日紅は
夏のこの真っ盛りに
百日咲く、と言われるようにパワフルな花

深刻な願いでも吹き飛ばしてくれるような
配合の妙味ですね。

百日紅ごくごく水を呑むばかり 石田波郷

運動の後でしょうか、ただ一心に
ごくごくと喉を鳴らして水を呑む人
それを見守る百日紅

実際に水を呑んでいるのは人だけど
百日紅も一緒に呑んで力を蓄えているような
面白みがある句ですね。

百日紅乙女の一身またたく間に 中村草田男
百日紅は百日咲いているといっても
といっても散って咲いてを繰り返しているわけですが
そのように一人の乙女が・・・

他の花だとただ散ったのか、で終わるが
百日紅だからこそ読み手にその先を想像させるのもがある

5.4.4.5の変則リズムが
余韻を生み出していて
面白い句ですね。

 

 

 

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