名句鑑賞会

むつきの会では名句鑑賞会、というものを行ってます。

これは幹事が用意した近代の俳句作者の作品リストを各自読んで

その場で

◎特に好きな句を一句

〇好きな句を二句

×嫌いな句を三句

?わからない句を最大5句挙げてもらい

票の入った句について意見を交わす、というものです。

 

意味がわからない言葉などはその場で電子辞書で調べます。

名句を鑑賞し、人の意見を聞くことで俳句を見る力を養う事が目的です。

自分の好きな句が他の人が嫌いだったりして見解の相違を知ることができます。

また、意見を人前で発表することで俳句の実力が付きます。

 

特に好きな句、は各自、感想を述べてもらいます。

名句鑑賞会には各自が一番好きな句、に挙げた句の感想が載ってます。

 

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こんにちは。俳句サークルむつきの会の佐藤です。

今回は竹下しづの女の俳句について勉強会を行いました。

 

意見が分かれ、とても面白い勉強会でした。

各自の竹下しづの女の好きな句とその感想です。

 

ゆうこ

灯りぬ花より艶に花の影

花よりもその影をなまめかしいと感じているのは、夫を亡くし、働きながら子を育てている、恵まれない境遇に負けまいとするしづの女の気骨が感じられる

 

じゅんこ

苺ジャム男子はこれを食う可らず

苺ジャムは食べちゃダメ・・・

昔の人は甘いものが苦手だったのか?私の周り、特に主人は甘党であり、時代を感じる。

苺ジャムが高級なものだったからか・・・考えさせられる句である。

 

さとう

 

短夜や乳ぜり啼く子を須可捨焉乎

いくら自分の子でも毎回毎回うんざりしてしまう。

人としての素直な気持ち、やりきれなさが

漢字表現によく表れている。

 

 

 

 

 

今回は橋本多佳子の俳句を学びました。
4人で行いましたが
面白かったのは4人全員が好きか嫌いかどちらかに投票した句があったということです。
どんなことでも、好みは人それぞれ。
もちろん、どれに投票したからいい悪いということは全くありません。
ただ、自分の反対の意見の人の感想を聞くことで、
感性が豊かになります。

各自の選んだ橋本多佳子の好きな句を発表します。

ゆうこ
万緑やおどろきやすき小鹿ゐて
万緑のみずみずしさと仔鹿のいたいけなさがよく通じ合っています。

たかゆき
紫蘇しぼりしぼりて母の恋ひしかり
紫蘇を搾っていたら母が恋しくなった。それだけのことですが
まず、紫蘇と母のとりあわせがよいです。
また同じ言葉をくりかえすことでじわーっと母への恋しさがにじみでている。
逆にもし自分が母への恋しさを詠むとしたら、取り合わせが難しいと思うのですが
紫蘇という言葉に小さい頃思い出が蘇り、共感を誘います。

らいなす
おとろえて生あざやかや桜八重
満開の盛りを過ぎて散り際の八重桜の美しさを情感ある言葉で詠んでいると思う。
最後の命の輝きやほとばしりも感じる

さとう
万緑やわが額(ぬか)にある鉄格子
杉田久女の最期の地での作句。確かに久女の最後を思わせる名句だが
仮に弔句でなく、例えば罪人が牢獄で詠んだものだとしても
伝わるものがある。
万緑と額の鉄格子。それだけ配置しただけで全体が浮かんでくる
まさに俳句、とはこう作るものだという句

 

 

 

 

 

句会と共に俳句鑑賞会を行いました。

各自の芝不器男一番好きな句について発表します。

ゆうこ
新涼に山芋売りの来たりけり 芝不器男

一筆書きのようにさらりとした句。それが新涼という季語によく合っている。
山芋に適度な生活感があり、厭味を感じさせない。

たかゆき
永き日のにわとり柵を越えにけり 芝不器男

「にわとりが柵を越えた」だけではちょっとも面白くないですね。
上五で「永き日の」と言うことで詠み人の感じる一日の出来事があり
いつも見ている情景に何か感慨深い心持ちを抱いたのではないでしょうか
にわとりが越えていった余韻が残る句だと思います。

さとう
南風の蟻吹きこぼす畳かな 芝不器男

夏に蟻が畳の上に上がってくるのは
田舎ではよく見る光景だが、吹きこぼすと表現したのが面白い。
南風という季語で蟻の様子が伝わってくる。

 

 

 

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